ジョイフル (10)

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シャンクスさんが開口一番に言ったことにはひっくり返りそうになった。

「あかあおさん、父親さまも赤亀って本当ですか?すごいですね、親子二代。

は?なんで、そんなパーソナルな話から切り込んでくるの?はじめましてからまだ18分しかたっていないよ。このシャンクスってひと、なんかずれてる。意味わからない。普通は、『福岡、何泊ですか?』とか、『赤、青、どっち派ですか?』とかじゃないか?距離を縮めるには段階あるよ。カンジ悪いな、シャンクス。

とは言え、いきなり不機嫌にするのは主催者のハラトビさんに悪いからとりあえず笑顔で答えた。

「あー。なんかそんな話になっているんですか?実は、嫁氏の父親が、昔から赤ヘビロテだったみたいで。ローマに就航している時も乗っていたみたいです。」

マイラー界の逆玉か。うらやましいわ。わしは、もう結婚はしない決めてますねん。モテないってこともありますけどな。」

は?逆玉?すげー失礼じゃないか?その言い方。それにお前が結婚してるかどうか、するかどうか、正直俺は一切関係ない。でも語彙は面白いな。確かにマイル資本経済学という学問があるならば、位置づけは間違っていない。俺はマイル資本経済学では逆玉でブルジョワジーに仲間入りしているポジションだ。シャンクスさん、頭は悪くなさそう。よし、もう少し、このシャンクスさんを観察してみよう。

それに、怒ったら負け。俺はアンガ―マネージメントも本しっかり読んだし。相手に願望を持つから、怒りが発生する。シャンクスさんに要望もない。他人だし。

それにここで怒ったら、俺自身、なにかお義父さんに世話になっていることによからぬ感情、そうたとえば負い目を持っていることを発露することになるからな。ここはひとつ、上を行って、鷹揚に構えてみよう。

「逆玉かぁ。そんなこと考えたことも言われたこともないけれど、確かにそうですね。ははは。今回も逆玉嫁氏父親マイルで福岡来たんですよ。ありがたいッス。

ところで、シャンクスさん、モテないって、なんでそんなことおっしゃるんですか?」

一瞬、シャンクスさんが眉をひそめた。ほらな。こいつ、俺を煽ってるんだわ。受け流されておもしろくないんだな。なんか、ちょっとでもケンカを買う様子をみせたらだめ。相手の思うつぼ。こういう先手必勝ってずれた感覚で人間関係スタートさせるやつ、鉄道のとき、何回か会ったよ。

シャンクスさんもすぐに表情を戻した。あー、自分でもわかったんだな。きっと、さらに煽りをかけてくるだろう。

「いやいや、ほんま、全然、出逢いがないんですわ。あかあおさんは、嫁さんいはって、そのお義父さんがマイルATMってほんま、マイラー界の勝ち組ですやん。」

ほらな。マイルATMに勝ち組だろ。つまんない、煽り引き出し少ないな。それに、シャンクスさんって、親との関係になにかあるんだな。再度そこをいじってくるってことは。ひとって、先制攻撃するときに、まず自分がされたらいやなことをするから。

こりゃ、くぅさんの嫌いなタイプ。めんどくさい。自意識過剰で、先制攻撃の煽りが大すきとか。

「そんなにおだてないでくださいよ。嫁はいますけれど、ほら、モテるのはやっぱりくぅさんみたいなイケメンじゃないですか。今だって女性陣、くぅさんにロックオンだし。」

あれ、ハラトビさんの顔から表情がなくなってる。能面モード。あんなに笑顔がすてきで、笑顔を絶やさない人なのに。シャンクスさんは気づかないみたいだけれど、俺は見逃さない。そして、飲み物を取りに行くためか立ち上がって、その場を離れた。え、俺、なんかまずいこと言った?だって、ハラトビさん、こっちに戻ってこないで、くぅさんの方に行っちゃったし。

そんなことおかまいなしに、シャンクスさんは続ける。

「あの。この間のクル、大変でしたね。サカモト、いっつもああやってトラブル持ち込むんですよね。」

は?サカモトって、誰?誰がサカモト?それに、サカモトって発音が、サ↑カ↑モトってなってて、ちょっと俺のイメージするサ↓カ↓モトとは異なる。誰だろう?それになんで俺がKULで海外オフ参加したこと知ってるの?キモイ。ストーカー?

「サカモト、あれ、サイコですよ。サカモトのサはサイコのサ。ないことを言いふらすし。自意識過剰だし。おおいかぶさって、ひとの話の腰折るし。勝手に好きになって追っかけてくるし。わしはないですけれど、わしの長年仲良くしていただいている友人が苦労してましたわ。わし、基本、ひとのこと、嫌いにならないようにしてますけれど、サカモトは別ですわ。」

てか、シャンクスさん、今おっしゃったこと、貴殿なう、ですよ。そのまんまの様相を示していますよ。俺もあなたを嫌いになっていいですか?でもそんなことおくびにもださずにたずねてみる。

「あの~、サカモトさん、って?」

「え?サカモトサオリ。イニシャルはSSなのに、エルサイズの。」

エルサイズって、それ、もうハラスメントだぞ。容姿で個人を言及するとは。なんたること!!個の尊厳を冒している。これはハラスメント委員会にかけられたら一発で注意訓告入るぞ。これは話題変えたほうがいいのかな?うーん、でもサカモトってなに?だれ?気になる。サオリって名前かわいいしな、誰のことだろう?

「サカモトサオリさん?どなただろう?」

「あー、あいつもう本名使うのやめたんだ。一応懲りたんですかね。前にわしとやりあって、わしが論破して、叱って、いったん消えたんですわ。しばらくしてけうけむっていうので復活ですわ。はじめのハンドルネームはサオリんでしたからね。スクショもありますよ、ちょっと待ってくださいね。」

え?けうけむさんのこと?論破?叱って?

てか、俺もうマジで名前もみたくないし、別世界で自由に生きていきましょうのレベルで関係ないし、興味もないんだけれど。会社お問い合わせ攻撃きたら応戦するだけのつもりで、それ以外一切関係ないんだけれど。

「ほら。見てください。これ。初期のサオリん時代のツイートとプロフ。そして、これが、その時のLINE。本名で登録してたから、ほら、サカモトサオリ、って。」

うわっ。けうけむさんだ。今よりちょっと細いように見える。あれ、けうけむさん、フォトショ芸人か?めちゃ雰囲気美人プロフ画像になっている。でも、頼んでもいないのに、スクショ見せるってなに?個人情報おもらししすぎ。このシャンクスってひと。ゆるいの?

てか。俺的にもう無理。このひと無理。なにこのスクショさらし。赤亀の話からまだ4分しかたっていない。つまり、出逢ってから22分しかたっていない。

「あのとき、わしがサカモトを論破したときのスクショもありますよ。見ます?」

「いや、いいです。たぶん、シャンクスさんのご立派さの前では、けうけむさんは敵わないだろうことは、なんとなくイメージできるので。そうですか、シャンクスさん、けうけむさんと絡みがあったのですね。」

「ありましたね。わし、ツイッターやっているとき、3人だけブロックしたのですが、サカモトはそのうちの一人ですよ。基本ブロックはしない派だったのですが、あの人は別。論破してわしのほうが正しいことを示して、打ちのめしてやりましたよ。」

すげー意味わかんない。なに?論破って?学生運動?シャンクスさんってもしかして、あれ、団塊の世代なの?旅が好きで集うひとを論破してなにかいいことあるの?

「人に歴史あり、ですね。やっぱり、同じ趣味の世界にいるとつながるんですね。いや、けうけむさんには、俺、もうブロックされているし、もう、こちらからは何も関係もないですし、お互い交わることのない漁場で泳いでいるだけですから、もうなにも感情はないですよ。それこそ、水に流した。はじめての海外オフで強烈でしたけれど、それも良い経験かなって。」

おっ。俺、結構ポエティックな表現できてるかも。漁場と、水に流したを水つながりで掛けている。

あまーい。あまいわ。あかあおさん。自分、めっちゃあまいで。サカモト、いまでもあかあおさんのこと、めっちゃ言うてますわ。ほら、スクショありますよ、見てください。

と言って差し出したのは、あの匿名の掲示版ではなく、LINEグループのスクショだった。そこには、見たことのあるツイッターネームとアイコンがいくつかあった。

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