ジョイフル (14)- 最終回

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博多で地下鉄を降りて、そこでくぅさんとも別れた。時間を見ると、もう8時だった。結構時間たったな。ちょっとおなかもすいたから、うどんを食べて、ホテルに戻った。するとロビーで、みどりと、もがみさんが、立ち話をしていた。

もがみさんにお礼もしたいし、まだ寝るには早いから、誘ってみるか。

「あ、こうちゃん、ちょうどよかった。ねぇ、3人でなんか行かない?めっちゃがんばってるのよ、ブロー・トール

ん?なに?ぶろとおる??プロトコルの間違いかな?そういえば、シス・グリーンとも言ってたよな。よし、それも気になるから、3人で行こう。俺がごちそうする。

「久しぶりなんで、ちょっと歩きますが、地元の味、九州が誇るファミレス、ジョイフル行きましょう!」とイケメン最上さんが言ったので、そこに行くことにした。彼はちょっと飲んでいるようで、気も大きくなっていて、「やっぱり、タクりましょう。」とあっけなくタクシーでファミレスに行った。

俺にとっては初ジョイフル。へー。こんなカンジなんだ。今度赤坂にも行ってみようかな。

席に着くと、最上さんはご機嫌モードで言った。

「うらやましいです。シス・グリーンが奥さんだなんて。ほんとうらやましくてもう。

「は?その、シス・グリーンってなに?さっき、みどりもぶろとおるって言ってたよね?なに、それ?ちょっと想像しきれなかった。なんでそんなあだ名なの?」

「ああ、ゴスペルだから、お互いを、シスター、ブラザーって呼び合うんだよ。それで、なににしようっていうことで、みどりだから、シスター・グリーン、略して、シス・グリーンだよ。かっこよくね?

「なにそれ?それで、ゴスペル以外でもそうやって呼ぶの?」

「そうなんです。僕は、背が高いからトールで、ブラザー・トール、略してブロー・トールです。雰囲気ありますよね。シス・グリーンなんてピッタリ!!

「うーん、ちょっとその感覚、つかみ切れないかも。それで、もがみさんは、うちの嫁氏が奥さんの何がうらやましいの?」

言い切れないくらい全部うらやましいですっ!

「てか、こうちゃん、ブロー・トール、すげぇ、アプローチしてくるの。迫ってくるし。チョーうざいレベルに来てるんだけどさ。別にこうちゃんからなにか言ってもらいたいわけじゃなくて、もううざすぎてウケるというか。もう相手しきれないんだよね。

ほら、テレビドラマ?偽装不倫とかあるから、なんか勝手に重ねちゃって、あたしのこと、杏だと思ってるのか、ぐいぐいくるわけ。すげぇウケるよね。28歳イケメンに迫られる45歳四捨五入したら50歳でぇす、ってカンジで。てか、別に恋愛とか外にも求めてないし。なんか、ウケるわ。」

このクールで、割り切ってるところも最高ですよ。シス・グリーン。めっちゃファンです。

「28歳に迫られるくらいなら、なんか福岡限定のポテチとかそういうのに埋もれたいわ。てか、こうやって、1回外に出るだけで、イケメン入れ食いだからさ~、こうちゃんも旅行でぐいぐいくるんじゃないの?とかぐいぐいいってたりとかさ。マジ、ウケるよね。ははは。」

ごめん、みどり、今日俺が目にしたものを話したら、そんなおだやかな花園みたいなものではないということがすぐわかると思うよ。でも、話しても理解できないだろうし、ゴスペルの和やかさとは全然異なる世界が広がっているマイラーの世界だから言わないけれど。

それに、恋愛とか外に「」求めていないってなんだ?確かに俺もみどりに恋愛はもう求めていないけれど、先に言われるとなんだかくやしいぞ。

「ホントまじにお願いしたいです。たまらないッス、シス・グリーン。今度またシス・グリーンをデート誘っていいですか?だめすか?いいですか?

「いや、分別のあるデートだったら、遠慮いらないですよ。ゴスペルの仲間ということなら。」

「おおおおお!マジすか。シス・グリーン、どこいきたいですか?」

「あーね、そーね、あっ。ポテチ工場。そこならデートしてやってもいいよ。それ以外は、あんまり乗り気になれないな。ブロー・トール、めちゃ迫ってきて、うざいし。保育園児みたいで、仕事の延長に見えて、わらけるわ。」

「みどり、言い過ぎじゃないの?大丈夫?」

「ああ、大丈夫、大丈夫。ノープロブレム。昨日から出かけて、なんかもう把握したし。それなのに、ブロー・トールはまだポテチが肝ってことなにひとつ理解できていない鈍感だから。」

おっ。みどり、なかなか言うな。これくらい言うやつとシャンクスぶつけて、シャンクスを論破してやってほしいわ。

「あ、明日の午前中のワーシップ、お時間あるなら、いらっしゃいませんか?そんなに宗教色つよいものではなく、ちょっと聖書の言葉を読んで、あとは、歌ですから。うちらも、歌は参加するんです。この世界では有名な人が来ているので、是非、見て頂きたいなぁ。」

「そうだよ。明日、朝ごはん食べたら、一緒に行こうよ。折角だし。はい、決まりね。

そんなこんなで、明日は朝ゆっくりするのではなく、ゴスペルを見に行くことになった。ジョイフル、めっちゃ安い。3人でこれだけ?2,000円行かない。安すぎる。楽しい。本当に、ジョイがフルだ。今度、赤坂にも絶対行こう。

朝ごはんを食べてみどりのワーシップに行った。教会はこじんまりしていて、新しいステンドグラスがキレイだった。聖書の話もマタイからで、敵を愛せよ、という内容。ちょっとタイムリーだった。

それで、ゴスペルではジョイフル・ジョイフルと、オー・ハッピー・デーを歌った。チームはお世辞にも完璧とは言えないけれど、その偉い人がリードボーカルをして、迫力があった。俺は、宗教は冠婚葬祭だけな人間だけれど、聖書の言葉と歌の組み合わせには考えることがあった。

今回会った、シャンクスも再会したけうけむも、根からスクショ・ホリックではなかったはず。なにかのきっかけでああなった。あいつらを憎んでも仕方ない。しかし、許すことはできるかというと、会社に迷惑をかける寸前までやられているわけだから、おいそれとは許せない。もちろん、今日の言葉どおりに愛することはできない。

でも、存在に関わらないこと、それはできる。何かやられても揺るがないこと、それはできる。それをやっていくほかないんじゃないかな。そこははっきりした。そういう意味では、ゴスペルに来てよかった。愛せないけれど、愛せというなら、憎む、許す、そういう感情を抜きにして、揺るがないでいよう。そうすればお互い平和。こういう学びがあるならば、また教会に行ってもいいかもしれない。みどりのゴスペル発表会にもできるだけ行こうと思う。駅前で観た子供たちの歌とはまた異なる印象を持ったから、奥が深いはず。

「すごい良かったよ。俺はチームには入らないけれど、みどり、いや、シス・グリーン、これからも続けなよ。」

と終わったあとにみどりに声をかけた。みどりはうんとうなずいて、ガッツポーズをした。

「これからもよろしくお願いしますっ」

と横にいた最上さんがみどりより喜んで、舞い上がるレベルでうれしそうに言った。

みどりも外にでたら、まんざらじゃないみたいだし、それも発見だったな。マイル逆玉でもなんでもいいや。言いたい人には言わせておけばいいや。そんなこと関係なく、機会を作って、どんどん好きに外に出たほうがいいかもしれない。ただ、エリーさんみたいにおっとりとした人間になるような子育ては、夫婦でしっかりやらないとな。うん、やっていきたいな。

そんなこんな、色々なことを考えて、帰りのフライトのために福岡空港に向かった。遅い昼ごはんはラウンジで済まそう。みどりは、DPラウンジで、カレーパンを2個食べた後に、

やべー。なにここ。この鶏飯おにぎり、ぱねぇ。うまっんまっ。

と3個完食していた。待ち合わせしていたくぅさんは、それを見て、ニコニコしながら、

「あかあおさんの奥さま、ほんといいですね。おおらかだし。楽しそう。ジョイフルジョイフルだわ。」

と俺に言った。そして、

「お気に召したんですね。外の売店で売ってますよ。」

と教えてくれた。

「じゃ、これ、外の売店で買おう。お義父さんとお義母さんにもおすそわけしよう。」

と言うと、みどりはすぐに、買いに行くと言った。ちょっと時間も早いけれど、まあいいや、と外に出ることにした。搭乗口に近い、売店にある残り全部を買い占めていたので、よほど気に入ったのだと思う。

何を思ったか、それだけではまだ足りないと言い出して、ANAのほうまで出張っていった。結構歩くな。でもいいや。ANAの方の売店でも残り全部を買い占めて、ゴボチYUZUSCO味も6箱買っていた。すごい荷物になっちゃった。でもおみやげにもなるし、ま、いっか。

買い物のあと、JALの搭乗口に向かって戻るとき、あれ、やばい、けうけむさんがいることに気付いた。ラウンジの前にきょろきょろしながら立っている。やべぇ、見つからないようにしないと。なんできょろきょろしているのかな?

「あれ、わかります?ラウンジ古事記するつもりですよ。スイートラウンジ。ツイッターで、検索してみたら、すぐわかりますよ。FUK ANA 誰かいませんか~、って、これだ。

ああ、けうけむさん、別アカで、@marrooooonxsaworinっていうIDで、マロンさんでやってるんですね。うん、これ、間違いない。エリーさんともつながってる。そこまでして、ラウンジ入りたいかってことですよ。あ、このマロンさん、あかあおさんのこともフォローしてますよ。ぷぷぷ。」

くぅさんが、笑いをこらえるため口を手で覆っていた。

えっ。なにこれ。もう、さっきの聖書の話、全否定レベル。台無し。こいつは憎まないとダメけうけむさんがやってるということは、きっと、シャンクスさんも似たり寄ったりをやってるはず。なにこれ。やはりこの二人は地獄で両成敗。

とにかく、今この場では見つからないことが一番大切。そそくさと通り過ぎた。おにぎり2個入り14個、ゴボチ6箱の大荷物だから、気づかれないようにしないと。そして、たぶん、けうけむさんの姿もこれが見納め。

行きと違って、荷物も多かったし、優先搭乗をした。そして、座ったら、疲れたのか、帰りのフライトは離陸前に寝てしまった。珍しく夢までみて、みどりに、

「こうちゃん、大丈夫?」

と起こされる始末だった。ちょっと、「うぅ」って声も出していたみたい。

その夢は、俺が会ったこともないトラザンさんシャンクスさんと旅行して、ラウンジにけうけむさんを招待して、そこで俺以外の3人がまわり関係なくガンガン動画撮ったり、撮りあったり、記事にして、揉めて、スクショを出しまくって、航空会社と大喧嘩する内容だった。目覚めの悪い夢だけれど、意外と正夢になりそうでちょっとコワい。いや、むしろ、俺以外で、俺抜きにして、正夢になってくれると楽しいかもしれない。でもそうなっても、かかわらないでいるように、楽しい人とだけ絡んで行こう。

今回もたくさん楽しい人と出会った。ゆらゆらさん、JETくん、めんたさん、ハラトビさん、杏さん、みるるさん、エリーさん。ヤブローさんには再会できたし、くぅさんにはまたお世話になった。見習わなきゃならないところもたくさんあった。本当にみんなに感謝。

久しぶりに同期のカッキーにも会えたしな。やっぱり、安心する。

羽田到着後はバスで帰ることにした。40分待たなければいけないけれど、荷物が多すぎるから電車は無理。おなかもいっぱいだし、ベンチに座って待つことにした。あ、それなら、ちょっと、ひとりで、行ってきたいところがある。

「ちょっと待っててくれる?」

「うん、バスの時間に遅れないでね。」

チケットを購入し、みどりをベンチに待たせて、俺は、航空神社を参った。教会と神社、一日のうち、連荘だけれど、願わずには、いられない。

「今回、オフ会で会った楽しい人々とよいご縁が続きますように。そして、さっきの夢が俺を含まないで正夢になりますように。3人が相討ちして平和になりますように。

帰宅するまでが旅行。今回の旅行が楽しく終わることができるようにとも祈願して、羽田空港を後にした。

(おしまい)

※※出演してくださった、ゆらゆらさん、JETくん、めんちゃん、ありがとうございました。

それ以外はフィクションです。「誰をモチーフにしてる?」とお尋ねが来ますが、ぜーーーーーんぶ、フィクションです!

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